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生協の未収金回収に強い弁護士法人ニューステージが未収金回収率を高めます

サービサー利用時の注意

(1)サービサーが取り扱える債権とは?

未収金の回収については、サービサー(債権回収会社)に委託されている生協様も多いと思います。
サービサーは、サービサー法(債権管理回収業に関する特別措置法)に基づいて設立された会社であり、法務省の監督下にあります。
もともと、債権回収などの法的業務は弁護士しか取り扱うことができなかったのですが、バブル崩壊後、大量の不良債権を処理するために、弁護士法の例外として、サービサーも「特定金銭債権」に限り、業として委託を受けるなどして回収を図ることが認められました。
サービサーが取り扱うことができる「特定金銭債権」は、金融機関等が有する貸金債権、リース債権、クレジット債権などに限られています(債権管理回収業に関する特別措置法2条1項)。
生活協同組合が有する「売掛金債権」は、サービサーが取り扱うことのできる「特定金銭債権」には含まれていません。
したがって、本来、サービサーは、このような債権を取り扱ってはいけないのです。

(2)サービサーは売掛金債権を取り扱える?

もっとも、実態としては、複数のサービサーが、企業や行政から売掛金債権などの回収委託を受け、回収を行っています。
これは各サービサーが、法務大臣に「兼業」の申請を行い、「正常債権の集金代行業務」として受託していると説明されています。
バブル崩壊後の不良債権処理もひと段落し、金融機関からの売却、委託債権が減少してきたことから、サービサーの仕事が減少してきました。そこで、サービサーは、このような「兼業」により、事業の幅を広げようとしているのです。
もっとも、サービサーに「兼業」として認められるのは、先に述べた「正常債権の集金代行」に限られます。
「正常債権」とは、「事件性・争訟性のない債権」であり、「集金代行業務」とは、「債務者が任意で弁済するのを受領する事務を代行すること」です。
つまり、サービサーは、「自分から支払う意思を示す債務者から代金を受け取る」ことを代行できるだけなのです。例えば、「支払案内」の送付などに限定されます。
これに対して、債務者が「支払いたくない」とか「支払えない」と述べた場合、サービサーは、履行の請求をすることはできません。
法務大臣から認められた範囲を超えていますので、サービサーは、そのような債権を、委託者にお返ししなければならないのです。
債務者が自主的に支払うお金を受け取ることは、高い委託料を支払って、委託するほどのことでしょうか。
私には、とてもそうは思えません。
生協様は、サービサーに委託する際、サービサーが、債務者に対して請求や督促してくれることを期待しているはずですし、サービサーとしても、そのような期待に応えるべく、実際に「不良化している債権」や「争訟性のある債権」についての請求も頑張ろうとする危険性があります。
現実として、サービサーによっては、争訟性のある債権の請求行為も行われていると聞いています。
しかし、サービサーが、そのような行為をすれば、弁護士法、サービサー法違反となります。
最初に述べたとおり、サービサーは、法務省の監督下にあります。
サービサーに認められた範囲を超えた取立行為が発覚すれば、サービサーは営業停止などの措置を受けることになります。
生協様が債権回収を委託しても、サービサーが、業務として取り組める範囲は限られており、しかも、法務大臣などの指導によって、突然、取り扱えなくなることもあり得るのです。

(3)サービサーに委託することによって回収率が上がる?

サービサーは大きな企業が多く、その機動性や実績に期待して委託される会社も多いと思います。
しかし、繰り返しになりますが、サービサーが、たとえ「兼業」申請により、取り扱える債権の種類を増やしていても、法務省から認められるのは「正常債権の集金代行業務」に限られています。
サービサーは、債務者が自主的に支払うお金を、委託者の代わりに受領することしかできません。
サービサーが、「支払案内」を送った債務者が、何かと理由を付けて支払いを拒んだ場合、この債権は、「事件性」「争訟性」があることになり、サービサーとしては、取り扱うことができず、委託者にお返ししなければならないのです。
近年、債務者もインターネットなどで知識を有しておりますので、サービサーの請求に対して、「事件性」「争訟性」があることを述べて、支払いを拒絶するケースも増えています。
多数の少額債権を委託する場合、その中には、上記のような争訟性がある債権も含まれています。
したがって、サービサーへの委託は、「サービサーが取り扱えない部分」を除いた回収しか見込めないことになります。
また、サービサーが取り扱える債権についても、可能な行為は限られています。
サービサーに認められた「正常債権の集金代行業務」を超えれば、直ちに法務省から指導などの行政処分の対象となってしまうからです。
特に、取り立て行為に関しては、「集金の代行」という範囲を超えないよう、細心の注意を払う必要があるでしょう。
サービサーの担当者の方には、もちろん有能な方、やる気のある方もいらっしゃると思います。
しかし、その担当者が、委託者のために、債権回収にやる気を出せば出すほど、違法な取り立て行為になってしまうというジレンマがあるのです。
サービサーの担当者は、「言ってはいけないこと」が多すぎるのです。
サービサーに委託する上で、サービサーにはこのような制約があることは留意する必要があると思います。

(4)サービサーと法律事務所の違い

弁護士は、本来、「事件性・争訟性」のある債権について依頼を受け、代理人として、請求、督促することが認められています。
したがって、弁護士には、先ほど述べたサービサーのような制約は一切ありません。
弁護士は、支払いを拒む債務者に対しても、請求や交渉を行うことにより、実効的な回収行為を行うことができるのです(もちろん、サービサーが行っているような「支払案内」も当然可能です。)。
しかも、文書による請求にも応じないような悪質な債務者に対しては、裁判所に対して、支払督促手続や民事訴訟手続、強制執行など、様々な法的手続をとることができます。

弁護士の受任範囲に制約がないことによって、例えば、次のような行為も可能となります。
・生活協同組合の売掛金債権の請求とともに、組合からの脱退の意向を確認したり、脱退届を受理することも可能になります。

上記に挙げた例は一部に過ぎませんが、弁護士は、依頼者の実情に応じた臨機応変な対応が可能であることはご理解いただけると思います。

ところで、念のために申し上げますが、弁護士の受任範囲に制約がないと言っても、弁護士が何でもできるわけではありません。
弁護士法や弁護士倫理に基づいた活動を行いますので、例えば、「品位を欠く」ような督促行為は、当事務所においても致しておりません。
弁護士法人ニューステージでは、ご依頼者様のイメージを損なうことなく、実効的な回収を図っていくことが重要であると考えています。