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生協の未収金回収に強い弁護士法人ニューステージが未収金回収率を高めます

消滅時効

未収金回収・管理に際しては、時効を意識する必要があります。
通常の債権ですと10年、商行為により生じた債権ですと5年、卸売商人や小売商人の売掛債権ですと2年となります。

では、生活協同組合が組合員に対して販売した物品について、その代金支払請求権は何年で時効にかかるのでしょうか。

「2年」とお考えになっておられる方も多いのではないでしょうか。

「民法173条 次に掲げる債権は、2年間行使しないときは、消滅する。
1 生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権」

組合員に対する物品販売の側面を強調すると「小売商人」ともいえそうです。
債権管理をする上では、非常に手堅い考え方であるといえます。

「5年」と考えることはできるでしょうか。
「商行為によって生じた債権は5年で時効により消滅する。」(商法522条)

果たして生活協同組合が組合員に対して物品を販売することは「商行為」となるのか?結論的には否定されます。
原則として「商人」の行為が「商行為」となるのですが、消費生活協同組合はそもそも「営利を目的としてその事業を行ってはならない」(消費生活協同組合法8条)とされていて商人には該当しないからです。

それでは「10年」と考えることはできるのでしょうか。
「債権は、10年間行使しないときは、消滅する。」(民法167条)

漁業協同協同組合や農業協同組合などの協同組合は、民法173条にいう生産者や卸売商人または小売商人のいずれにも当たらないとする最高裁判例があることや、上記のとおり消費生活協同組合の取引については原則として商事消滅時効の適用がないことから、消去法的に10年と考えることは可能です。

ただし、安穏と構えるわけにはいきません。消費者意識の高まりもありますので、上記したとおり2年の短期消滅時効を主張され、事実上支払を拒否されることも十分考えられます。

また、現在国会には民法改正法案が提出されており、債権の時効については一律に
「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間」
と大幅に変更されることになります。

以上のことからしますと、消滅時効も意識して、できるだけ早いうちに債権管理の体制を整えておくことが肝要です。